術後回復力強化プログラム

術後回復力強化プログラム(ERAS:Enforced Recovery After Surgery)

ERASとはヨーロッパの経腸栄養学会が中心となって考えたプログラムで、手術後の患者さんの回復を強化すること目的としています。
手術をすれば当然、生体に大きなダメージが加わることは否めません。手術によるダメージを可能な限り抑え込んで、できるだけ早い段階で、術前の元気な状態まで回復してもらおうというのがERASの目的です。
そのためには、医師だけでなく、看護師、臨床工学士、薬剤師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカー、医療事務など患者さんに係わる職員がチームとして、術前よりかかわっていきます。

細かい内容

1.術前

  • 入院前の情報提供とカウンセリング
    術後にどのようなことが起こるのか、麻酔から目が覚めたらどういう状態なのか、患者さん自身が何をしていくのか、などを事前に理解していただくことで、不安の軽減につながり、不隠の予防、経口摂取やリハビリに協力が得られるようになり、早期回復につながると考えています。
  • 麻酔前投与薬の中止
    術前の不安を取り除くために行われていましたが、呼吸が抑制されたり、麻酔からの覚醒が遅くなる可能性もあるため、必要ないとされています。
  • 術前の飲水を可能に
    麻酔をかける際に胃に内容物があると誤飲をしたりする危険があるとされ、通常は前日の夜から絶飲食にしていることなどがありますが、当院では術前2時間前までは飲水は自由で、前日の夜からはアルジネードウォーター800mlを飲んでいただいています。これにより術前の点滴は不要になり、脱水、口渇感、空腹感、不安の解消になるといわれています。

2.術中

  • 血栓、感染予防
  • 短時間作用型の麻酔薬で早期覚醒へ
  • 内視鏡などを積極的に使用して安全を確保したうえで、できるだけ小さな切開の手術
  • 適切な輸液で心肺合併症、腸管浮腫、創部の浮腫を予防
  • 術中の低体温の予防

3.術後管理

  • 麻薬を使用しない疼痛管理
  • 積極的な悪心・嘔吐の予防
  • 当日夜からの経口摂取開始
  • 翌日からの離床を目標
  • カテーテル類の早期抜去

患者さんやそのご家族の理解と協力が得られる事が最も大切と考えています。 術後に目標を持って、自ら積極的にリハビリに取り組んでいただければと思います。

このプログラムにより、開胸・開腹手術であっても、ほとんどの方が術後数時間で人工呼吸器を離脱して、当日より経口摂取を開始、翌日にはベッドから離床と、絶食・臥床期間が短縮され、1週間ほどでの退院も可能となってきています。