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連携室だより

松本協立病院地域医療福祉連携室

バックナンバーです。診療体制等、現在のものとは異なる場合があります。

[No.16] SAS(睡眠時無呼吸症候群)と心疾患

2006/01

明けましておめでとうございます。

旧年中は一方ならぬご厚情を賜りまことにありがとうございました。本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。さて現在当院では透析室の拡張工事中でございます。今年6月には完成の予定ですが詳しくは次の連携室だよりにてご案内させていただきます。

今回は循環器センター阿部医師による"睡眠時無呼吸症候群と心疾患"をテーマにいたしました。殊のほか寒さ厳しい今年の冬ですが、皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。

SAS(睡眠時無呼吸症候群)と心疾患

鉄道運転手の居眠りによる停止駅通過が報道され、日中の眠気や居眠り、だるさの原因の一つに睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)が存在することが日本においても広く知れわたってきている。そして、心疾患についても、SASによる様々な心臓への影響も徐々に明らかになってきている。睡眠中の無呼吸による低酸素状態が継続することが原因で、これまで、高血圧や心不全との関連が明確にされてきている。また、この他にも狭心症や心筋梗塞、種々の不整脈の発症を示唆する報告もみられてきている。このような背景の中、信州大学 循環器内科 池田宇一教授、臓器発生制御医学講座 高橋将文助教授のご助言ご指導のもと、当院の睡眠時のdataを解析してみた。

循環器疾患とSASとの関連性

SASの重症度をあらわすのにApnea Hypopnea Index(AHI)という値を用いる。これは、1時間あたりの無呼吸低呼吸の回数を示すもので高いほど重症SASと判断する。閉塞性SASに対して、日本ではAHI>20で持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)が保険適応となっている。このため、当院においてSAS疑いで睡眠ポリグラフィー(Polysomnography:PSG)を施行した方をAHIの結果で、AHI>20のSAS群とそれ以下のControl群との2群に分け、比較した(Table 1,2,Fig 1:731人)。SAS群と年齢、性別、BMI、首まわりにて有意差がみられ、また、高血圧、糖尿病、高脂血症、慢性心房細動、経皮的冠動脈インターベンション(Percutaneous Coronary Intervention:PCI) or冠動脈バイパス術(Coronary Artery Bypass Grafting:CABG)の既往にも有意差を認めた。そして、Table3に示すように、PSG中の不整脈の発生において、SAS群に有意に多く発作性心房細動(Paroxysma Atrial Fiblliration)(Fig 2)と2秒以上の洞停止:Pauseの発生を認めた。このように、様々な循環器疾患とSASとの関連性が確認された。次に、CPAP治療前後におけるPSG中の不整脈の発生を比較し(Fig 1:227人)、CPAPのSAS関連不整脈に対する抑制効果を調べた。Table 4に示すようにPAf、PauseともにCPAPにより有意な抑制効果が示された。

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不整脈発生の原因

不整脈発生の原因としては、低酸素状態でのカテコラミン放出、交感神経の緊張が睡眠中に発生すると、続いて、逆にこれを抑制するために副交感神経の強い緊張が生じる。このような通常の安定した呼吸状態ではみられない神経緊張の繰り返しの中から、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈がみられるひとつの要因として考えられている。そして、CPAPは無呼吸による低酸素の状態を減少させ、そのために起こっていた神経緊張を是正することにより、頻脈性、または徐脈性の不整脈を抑制する効果があるものと考えられる。

 

以前は、睡眠中のことへの関心は非常に小さいものであったが、ヒトの人生の1/3程度は睡眠である。覚醒時とは異なった循環動態、生理反応は、様々な病態に関与しているものと推測され、今後、循環器、呼吸器分野のみならず、多くの疾患との関係が明らかにされてゆくものと思われる。

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