禁煙外来

はじめに

私はこれまで、内科呼吸器科の医師として、喫煙関連疾患で大変な思いをされている患者さんや、そのご家族の方々をたくさん診てきました。
多くの患者さんに共通していたのは、「タバコが自分の健康をこれ程までに蝕むとは知らずに、タバコの世界に足を踏み入れてしまった」こと、「こうなることがわかっていたら、タバコは吸わなかった」ということです。

タバコが体に良くないことは、ほとんどの人達が知っています。
けれど、果たしてどれだけの人がタバコの本当の恐ろしさを知っているでしょうか?

世界と日本におけるタバコ規制対策の違い

タバコが死亡や病気、障害を引き起こすことは、科学的に証明されています。
2003年には「タバコ規制枠組み条約」が採択され、世界中の多くの国々が協力してタバコの害を減らそうとしています。一方日本では、日清戦争後に導入されたタバコ税による国家財政確保の流れが今日まで続き、現在政府が保有する日本タバコ産業株式会社(JT)の株式は、総数の半数近くを占め、国・地方を併せたタバコ税収は年間2兆円、H27年度のJT株式の政府への配当金は720億円が見込まれています。

各国のタバコ規制対策の違いを、タバコパッケージの警告表示で見てみましょう。
画像は、海外のタバコパッケージの警告表示です。

※掲載する画像は、比較的衝撃の少ないものを選択しましたが、一部に刺激的なものも含まれます。
個人により感じ方が違うため、閲覧にはご注意ください。
タバコは美容の大敵!」サイトより抜粋

あなたの体を守るのはあなた本人です。

患者さんの中には、「タバコ代が2000円になったら禁煙するよ」とか、「国がタバコを売らなくなったら禁煙できるよ」又は、「たばこが麻薬みたいに法規制になったら止められる」とおっしゃる方がいます。果たして、タバコ産業から大きな財源を得ている日本の政府が、積極的にタバコ規制に乗り出すでしょうか?

答えは、『NO!』 残念ですが、タバコ代が上がるより前に、あなたやあなたの大切な人の体が、おおきなダメージを受けてしまうでしょう。

おそるべし!ニコチン依存症

喫煙者のみなさんの多くは、知らない間に「ニコチン依存症」という病気にかかっています。
起きぬけの一服、手持ち無沙汰でつい手に取ったタバコでの一服、アイデアを生み出すために次々と火をつける一服、禁煙の場所から出てありつけた極上と感じる一服・・・などなど。
どれも「ニコチン依存症」がもたらす一服です。
そしてこれこそが、あなたの禁煙を困難にしている原因です。
ニコチンは、麻薬にもおとらない強い依存性のある有毒物質なのです。
自力で禁煙にチャレンジしたけれど上手くいかなかった方、禁煙を始めたいけれど自信のない方は私たちにお手伝いさせて下さい!

健康保険で禁煙外来を受診する為には・・・

禁煙治療の保険診療には基準が設けられており、次の1~5を満たした方のみがその対象となります。

  1. ニコチン依存症を診断するテスト(ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト)で5点以上であること
  2. 1日の平均喫煙本数×これまでの喫煙年数(ブリンクマン指数)が200以上であること(2016年4月より35才未満にはこの要件が無くなりました)
  3. ただちに禁煙を始めたいと思っていること
  4. (禁煙治療について説明を受け)禁煙治療をうけることに文書で同意していること

1~4を満たさない場合は自費診療となります。また1年以内に健康保険適応による禁煙治療を受けた方についても健康保険は適応外となります。(入院加療中の方も)

禁煙外来スケジュールについて

健康保険を使った禁煙治療では12週間に渡り計5回の診察を行います。
まず、初回診療で患者様と話し合って禁煙開始日を決定します。初回診療から2週間後、4週間後、8週間後、12週間後に禁煙の実行継続のための診療を行います。

毎回の診療では、禁煙補助薬の処方を受けるほか、息に含まれる一酸化炭素(タバコに含まれる有害物質)の濃度を測定したり、禁煙状況に応じてアドバイスをいたします。

禁煙外来実施日

毎週木曜日の14:00~16:00に実施しています。完全予約制となります。
なお基礎疾患により、使用できる禁煙補助薬に制限がある場合があります。また、禁煙治療開始後、基礎疾患が悪化する場合があるため、他院に通院中の方は必ず主治医に当院の禁煙外来を受診する旨をお伝えいただき、了承を得た上で、主治医からの診療情報提供書をお持ち下さい
また大変申し訳ありませんが、精神疾患にて加療中の方、入院歴のある方の治療はお受けできません
ご理解、ご協力をお願いいたします。

術前禁煙治療

2016年10月より、術前患者さんへの禁煙治療を開始しました。
タバコを吸っている方は手術を受けるにあたって呼吸器系や循環器系の合併症や創の感染など様々な不利益を受けやすくなります。
手術前に禁煙し禁煙を継続して手術を受けることで術後合併症はおよそ75%から43%程度に減らすことができます。
術前禁煙治療を希望される方は当院地域連携室(TEL.0263-35-6999)までご連絡ください。

禁煙の薬について

当院での禁煙治療は、以下の2種類の禁煙治療薬を選択して行います。

ニコチネルTTS(外用薬)

  • 毎日1枚を皮膚に貼ります
  • ニコチンが皮膚から吸収されます
  • 一定期間を置きながら、サイズの大きいものから小さいものに切り替えていきます

チャンピックス(内服薬)

  • 1回0.5mgを第1~3日目は1日1回、第4~7日目は1日2回服用します
  • 1回1gを第8日目以降1日2回服用し、投与期間は合計で12週間となります

費用と治療期間について

禁煙外来の治療では、一定の条件を満たした喫煙者の方なら健康保険での保険適用で診療が可能です。保険適用とならず、自由診療だと全額自己負担となりますので、およそ4万円台から6万円の費用がかかることになります。

  貼付薬での禁煙治療の場合 内服薬での禁煙治療の場合
禁煙補助薬 ニコチンパッチ
(商品名:二コチネルTTS)
バレニクリン
(商品名:チャンピックス)
禁煙治療にかかる費用の目安 約13,000円前後
(保険適用で3割負担の場合)
約20,000円前後
(保険適用で3割負担の場合

上記は、目安の金額になります。
検査、画像撮影などを実施された場合は、別途料金が発生します。

医師紹介

折井 恭子

折井 恭子(おりい きょうこ)

所属学会

  • 日本内科学会(総合内科専門医)
  • 日本呼吸器学会(専門医)
  • 日本禁煙学会(認定指導医)
  • 日本禁煙科学会(上級禁煙支援士)
  • 肺がんCT検診認定機構 肺癌CT検診認定医
  • 日本プライマリケア連合学会
  • 日本職業災害医学会(労災補償指導医)
  • 日本医師会(認定産業医)
  • 臨床研修指導医

お問合い合わせ

禁煙外来についてのお問い合わせおよび、受診をご希望される方は
松本協立病院 地域連携室0263-35-6999までお気軽にご連絡ください。
スタッフ一同、みなさんからのご連絡をお待ちしています。

松本協立病院 禁煙外来担当
内科呼吸器科 折井恭子(日本禁煙学会 認定指導医)
禁煙外来専任看護師 鎌田、石井、栗津原