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松本協立病院

社会医療法人 中信勤労者医療協会 松本協立病院
〒390-8505 長野県松本市巾上9-26
(松本駅アルプス口から徒歩1分)

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リハビリテーション科REHABILITATION

Ⅰ.はじめに

リハビリテーション医学は、疾患だけでなく「障害」を主要な対象としている点と、治療にあたりチーム医療・チームアプローチを必須とする点で従来の医学とは大きく異なっています。三次元の障害モデル(機能障害―能力障害―社会的不利)で患者の全体像を捉えて、生活の場についてまでアプローチします。(なおこれまで使用されてきた国際障害分類にかわって、WHOは2001年に国際生活機能分類を採択し、心身機能・構造―活動―参加というプラス面を強調する新しいモデルが提案された。)

疾患が治癒しない症例や、治癒しても機能障害を残した症例に対するアプローチ方法を持つのがリハビリテーション医学であり、廃用症候群を予防する観点や全人的に評価する視点を持つなど他科にはない特徴を持っています。リハビリテーション科(以下リハ科と略す)では、退院先の評価・調整を行うことや、多職種や家族参加カンファレンス、介護保険サービス利用の調整(ケアマネージャーとの連携)を日常不可欠の業務として行っており、リハ科研修はリハ科以外を専門とする医師にとっても将来役立つ有意義な研修になると考えます。

Ⅱ.プログラムの概要

リハ科を専門にしようとする医師には3年間を研修期間として位置付ける。2年間を県連内で研修し一年を県連院所以外で研修を行うことができる。リハ科以外を専門とする医師、特に神経内科・整形外科・脳外科を希望する医師にとってもリハ科研修を行うことは大いに意味があり、6ヵ月前後の短期研修を受け入れることは可能である。

リハ科後期研修を行う病院は長野中央病院、健和会病院とする。

後期研修中に次に掲げる各目標を3年間で経験、獲得する。

長野中央病院は、急性期が主体の一般病院であり、回復期リハ病棟を併設し、近くに老健施設を持っている。ベッド周囲の空間整備、らくらく手すりや前方手すり型車椅子トイレの開発などADL自立度を上げる地道な努力が続けられている。

健和会病院は、一般病棟の他に療養病棟、回復期リハ病棟を有するケアミックス型病院であり、法人内に往診専門診療所を有し、民医連が運営する老健施設、健和会病院が嘱託医をしている特養と連携しており、急性期リハから回復期リハ、維持期リハ、訪問リハなどの幅広いリハビリテーションを行っている。長野県の高次脳機能障害者支援事業拠点病院に指定されている。

Ⅲ.獲得目標

①リハビリテーションの理念や障害の概念、国際生活機能分類を理解し、生物レベル・個人レベル・社会レベルの3つの階層構造で患者を把握しアプローチする方法を理解する。

  • カルテ記載や目標設定など日常臨床において、機能障害―能力障害―社会的不利、あるいは心身機能・構造―活動―参加という概念を使い分けることができる

②評価方法を理解し、自ら評価することができる。

  • 運動学:筋骨格系、神経系、呼吸・循環器系、嚥下摂食、歩行、上肢機能
  • 診断学:単純X線、頭部CT/MRI、脊椎MRI、電気性理学的検査(針筋電図、神経伝導検査、体性感覚誘発電位、脳波)、嚥下造影、嚥下内視鏡
  • 機能障害の評価:関節可動域、筋力、中枢性麻痺、不随意運動、感覚障害、嚥下障害、膀胱直腸障害、痴呆、失語症、失認、注意障害、遂行機能障害、記憶障害、患者心理
  • ADL評価:ADL概念の理解、Barthel index、FIM、IADLの理解と評価
  • 参加制約(社会的不利)の評価:家庭・職場の情報評価、家屋評価など

③治療方法を理解し、適切な治療方針を立案することができる

  • 予後予測:障害評価に基づき適切な予後予測(入院期間とゴール設定)が可能
  • 内科管理:高血圧、糖尿病、高脂血症、急変時の対応(BLS)、栄養管理
  • 再発予防:脳血管障害、転倒・骨折
  • 理学療法:理学療法士の役割仕事の理解、ROM・歩行訓練
  • 物理療法:温熱療法
  • 作業療法:作業療法士の役割仕事の理解、ROM・ADL/IADL訓練、高次脳機能障害訓練
  • 言語療法:言語聴覚士の役割仕事の理解、失語症・構音障害訓練、嚥下障害訓練
  • 義肢、装具、杖、車椅子の処方
  • 排尿管理
  • ブロック療法
  • 薬物療法
  • チームアプローチ、チーム医療、家族や本人との連携
  • 福祉制度、介護保険:身体障害診断書、主治医意見書、ケア計画

④主要疾患を理解し、適切な診断・治療ができる

  • 脳卒中
  • 外傷性脳損傷
  • 脊髄損傷
  • 骨折・切断
  • 関節リウマチ/骨・関節疾患
  • 神経筋疾患
  • 呼吸器疾患:慢性閉塞性肺疾患
  • 循環器疾患:心筋梗塞、慢性心不全
  • 廃用症候群・誤用症候群:予防と治療

Ⅳ.目標達成のための方略

  • 指導医の指導の下で、主に回復期リハ病棟において主治医となり、必要な診療・検査を行う。
  • 週一回の総回診、週数回のカンファレンスに参加して報告を行い、指導医や看護師・リハスタッフと意見交換を行う。病棟やリハスタッフとの学習会・症例検討会に積極的に参加する。
  • 一年目は評価方法、診断方法、疾患について幅広く学習・経験しその習得に努める。地方会レベルの学会発表を行う。
  • 二年目(あるいは三年目)には、県連内院所では経験する機会が少ない領域の研修や、全国の優れたリハ医学を学ぶため、他の研修施設で研修する機会を設ける。全国学会レベルでの発表を行う。
  • 三年目(あるいは二年目)は回復期リハ病棟の専従医として中心的役割を果たすことができるような力をつける。リハチームのリーダーとしての役割(患者マネジメント・チーム運営・学習会・継続研究など)を果たすことができるようになる。